『隠れ家で味わう、わたしの時間』。
緑が美しい景色を楽しみながらたどり着く農村歌舞伎の里、東谷。
ここは、嘗て讃岐の奥座敷として賑わったことのある山里。阿波と
讃岐を結ぶ本街道であり出城と呼ばれる城まであった由緒ある地。
廃墟同然だった築70年の古民家を蘇生してひと昔前にあった
田舎の農家の日常が蘇る。土間に、囲炉裏に、おくどさんと呼ばれる
かまど、そして畑脇にある五右衛門風呂。田畑の風景や星を眺めな
がらの入浴に疲れた身体は、お湯にとけてゆくかのようだ。ただし、
すべては薪を割り、火を着けるところからはじまる。簡単、便利な暮らしに慣れてしまった現代人にとっては、手間と暇のかかることばかりである。
そんな手間暇をかける懐かしい生活に、しばし身を宿すことで
懐かしい時代、懐かしい思いが蘇生される。自然と人間の調和
が保たれるこの山里が現代人の心のふるさとになればと願う。
本当の癒しがここにあるかもしれない。
藁葺き屋根のほっこりした古民家に山里の緑豊かな環境がとけた
たおやかな時間が今日も流れる。
たまにはゆらっとたまゆらへ、出かけてみるのもいいかも知れない。
まちムラ生活探求舎 舎主外山千磨子